ゼンメリング鉄道(Semmering Bahn)は、オーストリア南部に位置する世界初の本格的な山岳鉄道で、ウィーンとグラーツを結ぶ南部鉄道の一部として1854年に開通しました。全長約41kmにわたり、標高898mのゼンメリング峠を越えるルートには、14本のトンネル、16の高架橋、100を超える石造橋が含まれ、当時の土木技術の粋が結集されています。カール・リッター・フォン・ゲーガによって設計され、蒸気機関車が急勾配と急カーブを安全に走行できるよう工夫されました。この鉄道は、風光明媚な景観と技術的価値から、1998年にユネスコ世界文化遺産に登録され、現在も旅客鉄道として利用されており、歴史的かつ観光的にも重要な存在です。
ゼンメリング鉄道の自由旅行情報
ゼンメリング鉄道の路線

ユーレイルパス
ユーレイルグローバルパス、ユーレイルオーストリアパスで全線乗車できます。
ミュルツツーシュラーク南部鉄道博物館
ミュルツツーシュラーク南部鉄道博物館(Südbahnmuseum)は、オーストリア・シュタイアーマルク州ミュルツツーシュラークに位置し、世界遺産に登録されたゼンメリング鉄道の歴史と技術を紹介する施設です。2004年のゼンメリング鉄道開通150周年を記念して開館し、2007年には歴史的な機関車庫が展示ホールとして追加されました。
館内では、19世紀の鉄道建設に使用された測量機器や通信機器、写真、模型などを通じて、ゼンメリング鉄道の建設過程や当時の技術革新を学ぶことができます。また、オーストリア最大級のドライジーネ(手押しトロッコ)やモーターカー、蒸気機関車、電気機関車など、40両以上の歴史的車両が展示されています。特に、フェルディナント・ポルシェが設計した「C列車」や、1848年製のオーストリア最古の機関車「シュタインブリュック号」など、貴重な車両が見どころです。
この博物館は、ゼンメリング鉄道の文化的・技術的価値を伝える拠点として、鉄道ファンや歴史愛好者にとって必見のスポットです。